疑問点
- 移動平均線とは?
- 移動平均線の見方や活用方法は?
- 移動平均線を活用した手法の組み立て方は?
この記事では移動平均線について詳しく解説します。
移動平均線は世界で最も使用されているインジケーターです。 最も使用されているということはそれだけ機能もしやすく、他の市場参加者と同じ目線でトレードできるので勝率アップにも期待ができます。
使い方も簡単なので、どのインジケーターを使うか迷われている方は参考にしてみてください。
移動平均線の種類、移動平均線を利用したテクニカル分析、移動平均線を利用した取引手法のお役に立てると思います。
移動平均線とは
移動平均線とは、テクニカル分析の中で最もポピュラーな分析手法で、上記の画像のような線の事をいいます。
基本的に移動平均線は追随型で、ある一定期間の価格の終値の平均値を結んでいき線を表示させるインジケーターになります。
例えば"5日移動平均線"の場合、①~⑤の終値の平均値をAに。 また新しく⑥ができたら②~⑥の終値の平均値をBにと反映され、これらを線で結んだものが移動平均線となります。
移動平均線はトレンドの開始、トレンドの終了、反転を確認したり、シグナルを見つけたりするのに活用できます。
移動平均線の種類
移動平均線には3種類あります。
移動平均線の種類
- 単純移動平均線(SMA) Simple Moving Average
- 加重移動平均線(WMA) Weighed Moving Average
- 指数移動平均線(EMA) Exponential Moving Average
基本的な移動平均線の使い方は全て同じですが、それぞれの計算式や特徴に違いがあります。
順番にみていきましょう。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線は、ある一定期間(ローソク足の本数)の終値を単純に計算し平均化して作られた線で、最も利用されているのもこの単純移動平均線です。
計算式は以下の通りです。
SMAの計算式
SMA=(1本目終値+2本目終値+3本目終値+4本目終値+5本目終値)÷5本分
※5日移動平均線の場合
単純移動平均線(SMA)は相場状況の確認や全体のトレンドの流れを掴むのに有効です。しかし過去の価格の平均値を元にしているため、トレンド発生のシグナルに対する反応が遅れる弱点があるといえます。
加重移動平均線(WMA)
加重移動平均線(WMA)は、過去の価格よりも未来の価格に重点をおいた線です。
計算式は以下の通りです。
WMAの計算式
WMA=(1本目終値×1+2本目終値×2+3本目終値×3+4本目終値×4+5本目終値×5)÷(1+2+3+4+5)
※5日移動平均線の場合
加重移動平均線(WMA)は直近の価格に最も重点をおいてるので単純移動平均線(SMA)や、この後説明します指数移動平均線(EMA)よりも値動きに素早く反応する傾向にあり、短期トレード向きのインジケーターといえます。
しかし緩やかな相場で力を発揮するのでレンジ相場や急激な値動きの時には機能しなくなるのが弱点です。
また、あまり利用されないインジケーターでもあります。
指数移動平均線(EMA)
指数移動平均線(EMA)は、単純移動平均線(SMA)よりも直近の価格に重点をおいた線で、トレンド転換の見極めに有効です。
計算式は以下の通りです。
EMAの計算式
EMA=(1本目終値+2本目終値+3本目終値+4本目終値+5本目終値+5本目終値)÷(5+1)
※5日移動平均線の場合
1番新しい価格(ローソク足)を2倍し平均値を算出します。
バランスがとれているので欧米では単純移動平均線(SMA)よりも人気があります。
ただし値動きに敏感に反応するので急激な値動きの変化の対応は完全とは言えず、だましが多くなるのが弱点といえます。
初心者の方におすすめな移動平均線とは?
移動平均線だけでも三種類あり、どれを使うか迷うと思います。
結論から言いますとまずは"単純移動平均線(SMA)"の使用をおすすめします。
単純移動平均線(SMA)は世界中の多くの市場参加者に使用されています。多くの市場参加者と同じ目線になることは、優位性高いのポイントを見つけやすくなり勝率アップにも繋がります。
また加重移動平均線(WMA)や指数移動平均線(EMA)は値動きに敏感に反応するので初心者の方には少し難易度が高いインジケーターといえます。
ですので、まだどのインジケーターを使うか迷われている方は単純移動平均線(SMA)から使用し慣れてきたら色々試してみることをおすすめします。
移動平均線でわかること
移動平均線からは方向性、トレンドの強弱、転換点を読み取ることができます。
順番に見ていきましょう。
移動平均線で相場の方向性がわかる
移動平均線からは、現在の相場は上昇傾向なのか下降傾向なのか、はたまたレンジ相場なのかを線の傾く方向で読み取ることができます。
上昇傾向:移動平均線が右上がり。
下降傾向:移動平均線が右下がり。
レンジ:移動平均線が横ばい。
移動平均線でトレンドの強弱がわかる
移動平均線からは、線の傾きの強さでトレンドの強弱を判断することができます。
傾きが強い:トレンドが強いことが読み取れます。
傾きが弱い:トレンドが弱いことが読み取れます。
パーフェクトオーダー:トレンド発生中。
パーフェクトオーダーとは短期線、中期線、長期線がきれいに並び同じ方向を向いていることを言います。
理想的なトレンドで、一番狙いたい状況です。
移動平均線でトレンドの転換点がわかる
2本以上の移動平均線が交差(クロス)するとトレンドの転換と判断できます。
ゴールデンクロス
短期線が長期線を下から上に抜けることをゴールデンクロスと言います。下降から上昇への転換と読み取れます。
デッドクロス
短期線が長期線を上から下に抜けることをデッドクロスと言います。上昇から下降への転換と読み取れます。
レンジへの転換
ただし、ゴールデンクロス・デッドクロスが出現したからと言って必ず逆のトレンドに転換するわけではなく、ゴールデンクロス・デッドクロス後にレンジになる可能性もあります。
ゴールデンクロス・デッドクロスが頻出し線が絡み合い、レンジへの転換と読み取れます。
移動平均線の期間設定
移動平均線を表示させるには、移動平均線の種類を選び、期間の設定を行う必要があります。
移動平均線の種類は上記で説明した通り、ご自身のスタイルに合うものをおすすめします。
期間設定は、20、75、200といった5の倍数で設定するのが一般的です。
市場参加者の多くは5の倍数で設定していることが多いので、5の倍数で設定することで自然と他の市場参加者と同じ目線でトレードすることができます。
また基本的に移動平均線は、短期線・中期線・長期線の3本を表示させて使用します。
3本表示させることで相場状況がより掴みやすくなるのです。
ここで気になるのが、『どこまでが短期でどこからが中期や長期なのか』だと思います。
一般的には以下のように使われることが多いです。
- 短期線・・・5日~25日
- 中期線・・・50日~75日
- 長期線・・・100日~200日
トレード別のおすすめ期間設定
トレードスタイルには以下の3つがあります。
- スキャルピング
- デイトレード
- スイングトレード
トレードスタイルによっておすすめな期間設定も変わります。
順番に見ていきましょう。
スキャルピングにおすすめな期間設定
一般的にスキャルピングは、数秒~数分といった短時間で小さい利益を繰り返し積み重ねていくトレードスタイルです。1分足~5分足といった短い時間足で取り引きを行います。効率よく短期のトレンドを分析することが重要になるため、おすすめの期間設定は以下の通りになります。
- 短期線:5、10
- 中・長期線:15、20
デイトレードにおすすめな期間設定
一般的にデイトレードは、数時間~1日で取引を完了させるトレードスタイルです。1時間足や4時間足といった中期足でのトレードがメインになると思います。
そのためおすすめの期間設定は以下の通りになります。
- 短期線:5~20
- 中期線:50~75
- 長期線:100
スイングトレードにおすすめな期間設定
一般的にスイングトレードは、ポジションを数日から数週間保有しある程度大きな値幅を取りに行くスタイルです。
日足や週足といった長期足でのトレードがメインになると思います。
そのためおすすめの期間設定は以下の通りになります。
- 短期線:5~20
- 中期線:50~75
- 長期線:100、200
ちなみに私の設定している期間は以下の通りです。
ゆひの期間設定
- 短期線:20
- 中期線:50
- 長期線:100
なぜこの設定にしたかと言いますと、割と使用している方が多くて私自身も使いやすいと感じたからです(^^)
ただし期間の設定に正解はありません。
上記で移動平均線を3本表示させるのが基本と説明しましたが、もちろん必ず3本表示させる必要はありません。1本や2本を表示させている方も多く見かけます。
最終的にはご自身の考える使い方や把握したいトレンドに合わせ、色々期間を設定してみて使いやすいの見つけてみてください。
移動平均線を活用した簡単な手法
ここからは20(赤い線)、50(青い線)、100(グレーの線)の3本の単純移動平均線(SMA)を使用し、移動平均線の基礎知識と私の検証で得た情報を合わせて説明していきます。
移動平均線はトレンドフォローに有効なインジケーターです。上の画像のような上昇トレンドや下降トレンドの時に、その流れに乗って利益を取っていくスタイルになります。順張りとも言います。
レンジ相場のような方向性が明確でない相場では順張りはできません。上記の画像のようなレンジ相場で売買すると、含み損を保有する時間が長くなったり、損切に遭うことも少なくないのでレンジ相場のときは基本的にエントリーを避けます。
なのでまずはトレンドを見つけるところから始まります。
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1移動平均線を使用してトレンドを見つける
画像1
例えば、画像1は30分足のチャートです。ゴールデンクロスが出現したらすぐにトレンドが発生するわけではありません。レンジになる可能性もあるのですぐに買いエントリーはせず、その後の動向を見守ります。
画像2
画像1の続きです。
時間が経過し、上昇トレンドへと転換しました。3本線が同じ方向へ(パーフェクトオーダー)向き始めたら、そこで上昇トレンドと判断します。
このとき3本の線(SMA:短期・中期・長期)の幅が等しいほどトレンドは強いです。
この状態になったら押し目買いを狙っていきます。
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2移動平均線を目印に押し目買いを狙っていく
※押し目買いとは、上昇トレンド中にローソク足(価格)が移動平均線に近づき(戻し)、反発したところで買いエントリーすることです。
反対に下降トレンド中にローソク足(価格)が移動平均線に近づき(戻し)、反発したところ売りエントリーすることを戻り売りと言います。
移動平均線の基本的なテクニカルになります。
画像3
画像3は画像2と同じ画像になります。
まず1度目の戻し・反発で買いエントリーするのは上昇トレンドが発生して間も無く、だましが多いので見送ります。
2度目の戻し・反発が起こる頃には上昇トレンドも明確になり、トレンドは1度発生したら継続しやすい傾向にもあるので利益も取りやすい状況になります。
なので2度目からの反発・戻しから買いエントリーをしていきます。これは過去検証で勝率が高いことわかりました。
画像4
さらにローソク足(価格)が移動平均線にタッチしたところを下位足に落とし込み、チャートパターンが形成されたことやローソク足のプライスアクションを見極めることで優位性が高くなります。
上の画像4は画像3を15分足に落とした画像です。ダブルボトムが2つ形成されていました。赤いマーカーのダブルボトムとピンクのマーカーのダブルボトムです。
※ローソク足(価格)が移動平均線にタッチしただけでは、エントリーする根拠として弱いです。なぜなら移動平均線はあくまで目安なので必ずそこで反発するとは限らないからです。上記のように『チャートパターン』の形成や『プライスアクション』が出現など、エントリーする根拠を強くする必要があります。
移動平均線と合わせてこちらの記事も参考にしてみてください。
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チャートパターン・プライスアクション
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3移動平均線を使用して決済のタイミングを探る
そして気になるのが決済のタイミングですよね。結論からいうとデッドクロスが起こったタイミングが決済のタイミングです。
画像5
デッドクロスは短期線が中期線や長期線を上から下に抜けることを言います。そして上昇トレンドから下降トレンドへの転換と判断できます。
つまり上昇トレンド中に起こるデッドクロスは、これまでの上昇トレンドが終了し別のトレンドへと変わるサインと読み取ることができ、そのタイミングが決済の目安となります。
下降トレンドの場合は上昇トレンドとは反対の考え方になります。
手順をまとめる以下のようになります。
移動平均線の活用方法のまとめ
- ゴールデンクロス、デッドクロスを見つける
- トレンドができるのを待つ
- パーフェクトオーダーを確認
- 移動平均線から押し目、戻り目を探す
- 一度目の反発は見送り、二度目の反発からエントリー
- ゴールデンクロス、デッドクロスの確認で決済
移動平均線についてのまとめ
移動平均線からは様々な情報がわかることが理解していただけたかと思います。
まとめると以下のようになります。
移動平均線でわかること
- 相場の方向性がわかる
- トレンドの強弱がわかる
- トレンドの転換点がわかる
- エントリー判断ができる
- 決済判断ができる
移動平均線が使えるようになるとチャートの見え方がガラッと変わりトレードの幅が広がると思います。
加えて他にも売買する根拠を重ねたり、別のテクニカルを加えることで更なる勝率アップにも期待できることでしょう。
よければこちらの記事も参考にしてみてください。
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