疑問点
- ダウ理論とは?
- ダウ理論の法則性とは?
- ダウ理論の活用方法とは?
この記事では"ダウ理論"について詳しく解説していきます。
ダウ理論はすべてのテクニカルの基礎といえます。 なぜなら多くのインジケーターやテクニカル手法は"ダウ理論"の考えが根底にあるのがほとんどだからです。
そのためダウ理論を理解することは相場で戦っていくには非常に重要なことです。 ダウ理論が理解できると相場の見え方もガラッと変わること間違いありません。
『ダウ理論という言葉は知っているけど内容まではよくわからない』という方はよかったら参考にしてみてくださいね。
ダウ理論とは
ダウ理論は"相場環境"や"トレンド"の把握をするために非常に重要な理論です。
アメリカの証券アナリストである"チャールズ・ヘンリー・ダウ"(1851年~1902年)が構築した相場理論で、元々は株式市場(株価指数)の理論ですが、FXや仮想通貨など他の市場にも通用することから多くの市場参加者から利用されてきました。
そのためダウ理論通りに相場が動くことも珍しくありません。 勝つためには他の市場参加者と同じ目線でトレードすることが大切なので、多くの市場参加者に利用されているダウ理論を理解することはとても重要といえます。
ダウ理論は6つの基本法則で構成されている
ダウ理論は以下の『6つの基本法則』で構成されています。
6つの基本法則
- 価格は全ての事象を織り込む
- トレンドは3種類存在する
- 主要トレンドは3段階存在する
- 価格は相互に確認されなければならない
- トレンドは出来高で確認されなければならない
- トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
全て覚える必要はありません。 大切なのは実際のトレードでどう活かせるかですので、その部分を意識して見て頂けたらと思います。
それでは順番に見ていきましょう。
価格はすべての事象を織り込む
FX市場は、経済指標、要人発言、企業業績と言った"ファンダメンタルズ分析"の対象となる事象や、災害やテロなどの予測不能な事象はすべて価格に反映されているという考えです。(チャートに全ての状況が織り込まれている)
チャートに表示されている価格が全てであり、ニュースや経済指標、ファンダメンタルズ分析を用いて確認しなくても、値動きを正確に追うことで未来の価格も予想することが可能だとしています。
ただし短期トレードをメインにしている場合ですと重要な経済指標などがあった場合、含み損を抱えやすくなったり損切りに遭いやすくなるため市場に影響を与えそうな指標は把握、警戒しておいた方がいいかもしれません。
トレンドは3種類存在する
FX市場では『短期トレンド』『中期トレンド』『長期トレンド』の3つが混在し構成されています。
あくまで目安ですが期間は以下のようになります。
3種類のトレンド
- 短期トレンド:3週間未満
- 中期トレンド:3週間~数ヵ月程度
- 長期トレンド:1年以上
大きな波(長期トレンド)の中に中くらいの波(中期トレンド)があり、その中くらいの波(中期トレンド)の中にも小さな波(短期トレンド)が存在しているとしています。
この理論をFX市場で当てはめ、実際のリアルチャートで解説していきます。
上記の画像は日足のリアルチャートです。全体的な流れは上昇トレンドと判断できます。
四角の部分の一時的な戻しを1時間足に落として見てみます。
日足では上昇トレンドでしたが、一時的な戻しを時間足を落とし1時間足で見てみると下降トレンドになっていることがわかります。
更に四角の部分の一時的な戻しを5分足に落として見てみると・・
1時間足では下降トレンドでしたが、一時的な戻しを時間足を落とし5分足で見てみると上昇トレンドになっていることがわかりました。
このようにトレンドは『短期』『中期』『長期』のそれぞれのトレンドが混在し、構成されていることを表しています。
主要トレンドは3段階存在する
主要トレンドを『先行期』『追随期』『利確期』の3段階に分類しています。
トレンドが発生してから終焉を迎えるまでの流れを表しているものです。
上記の画像は実際のFXチャートです。
- 先行期:トレンドが発生する前段階で抜け目のない大口の投資家が大きな買い注文を仕掛けている段階です。
- 追随期:先行投資家が仕掛けた注文によって相場の方向性が出てきたことを察知したプロの投資家がその波に乗ろうと注文を入れていく段階です。
- 利食い期:一般投資家が参入してくる段階です。先行期、追随期で形成されたトレンドを察知し、一般投資家はその波に乗ろうと注文を入れていきますが、先行投資家(大口の投資家)は利益を確定するため売り注文を入れていきます。
そのため利食い期になると今までのトレンドは終焉を迎え新たにトレンド転換が起こります。この段階で買い注文を入れるのは、高値掴みとなり損失を被ることになるので注意が必要です。
※高値掴み…買いエントリーをしたものの売りの方向に価格が動き含み損を抱えたり損切りに遭うこと。反対の言葉である"安値掴み"は、売りエントリーをしたものの買いの方向へ価格が動き含み損を抱えたり損切りに遭うことを言います。
価格は相互に確認されなければならない
株式市場で言いますと工業平均株価と鉄道平均株価には相関関係があり(工業が活発化すると鉄道輸送も繁忙になる)、この2つのトレンドが確認されることで明確な上昇トレンドと見なす、という考えです。
元々は株式市場で適用される理論ですがこれをFX市場で当てはめると以下のようになります。
例えば各通貨ペアで『ドル』が買われている場合、ドル円は上昇します。対してユーロドルやポンドドルはどのような状況なのかと言いますと・・
上記の画像のようにユーロドルやポンドドルは下落しているのがわかります。
このようにFX市場でも相関性を確認することができます。
トレンドは出来高でも確認されなければならない
トレンドが発生したらその価格に比例して出来高も増減しなければならないという理論です。出来高とは一定期間中に成立した売買契約のことを言い、銘柄毎の人気度合いを判断する指標となるものになります。
出来高が明示されている株式市場ではわかりやすい理論ですが、FX市場では出来高を正確に把握することは難しいので当てはまらないと言われています。
トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する
6つの法則の中で最も重要な法則になります。
上昇トレンドは高値と安値をそれぞれ切り上げながら上昇し、下降トレンドは高値と安値をそれぞれ切り下げながら下降します。
そしてそのトレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続すると言われています。
明確な転換シグナルとは、上昇トレンドですと前回の安値を下抜けしたタイミング、下降トレンドですと前回の高値を上抜けしたタイミングを指します。
最もトレンド転換のシグナルとして狙いたいパターンは、下記の画像のように前回のトレンドで発生した、戻り高値や押し安値を明確に抜けたパターンです。
この転換シグナルが発生するとそれまでのトレンドは終焉を迎え、逆のトレンドまたはレンジへと転換しやすい傾向があります。
上記の画像は1時間足のリアルチャートです。上昇トレンドの明確な転換シグナルは『前回の安値を下抜けしたタイミング』でしたね。
上記の画像からも前回の安値を下抜けし、転換シグナルの発生を確認できるかと思います。その後これまでの上昇トレンドは終了し、下降トレンドへと転換しています。
ダウ理論の活用方法
ダウ理論には6つの法則が存在しますが、その中でもテクニカルに取り入れやすい法則は6つ目に解説した『トレンドは明確な転換シグナルがでるまで継続する』です。この法則はトレンドフォローやトレンドの転換点を察知し、決済判断の基準とすることができます。
では"6つ目"の法則を実際にどう活用すればいいのか・・それは上位足の『方向性を確認する手段』として活用するのが、最も有効的です。さらに他のテクニカル分析を組み合わることにより勝率アップに期待ができます。
どのように活用していくのか、実際のリアルチャートも交えて解説していきます。
ダウ理論の実践編
※トレンド、押し目、戻り目をわかりやすくするために今回は移動平均線(SMA)を使用します。ピンクの線がSMA20、水色の線がSMA50、グレーの線がSMA100です。
おさらいです。トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続しますが、明確な転換シグナルが発生すると上昇トレンドの場合、前回の安値を下抜けしたタイミングでこれまでのトレンドは終了し、下降トレンドの場合、前回の高値を上抜けしたタイミングでこれまでのトレンドは終了します。
それでは解説していきます。
上記の画像は日足のリアルチャートです。下降トレンドから①の四角の部分で前回の高値上抜けと言った明確な転換シグナルが発生し、下降トレンドの終了を示唆しています。
その後上昇トレンドへと転換しています。トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続するのでこの上昇トレンドが継続すことを仮定しこの流れに乗れるポイントを探るため、②の四角の部分を時間足を落として見てみます。
※方向性を確認する時間足はトレードする時間足の上位足(上の時間足)をおすすめします。上位足の方向に合わせることは根拠として強く、その上位足の方向に追随することでトレードの精度は高くなります。
②の四角の部分を1時間足に落とした画像です。1時間足ではゴールデンクロスが出現し、移動平均線は3本とも上向きできれいな上昇トレンドが形成されています。矢印の個所が押し目になります。
上位足(日足)でダウ理論を当てはめてみると、前回高値を上抜けし下降トレンドの終了を示唆。方向は上昇、またこれから"上昇が継続"すると仮定、1時間足でもきれいな"上昇トレンド形成"、エントリーするのに十分な根拠が確認できたのでトレンドの流れに乗るために押し目買いを狙っていきます。
これまでの流れをまとめますと以下のようになります。
これまでの流れ
- 1時間足で上昇トレンド発生
(パーフェクトオーダー) - 上位足(日足)ではダウ理論で見てもその後の上昇に期待ができる
- トレンドに乗るために押し目買いを狙っていく
大まかに解説してきましたが具体的なエントリータイミングの探り方を知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
↓
FXの移動平均線とは?|移動平均線の見方や活用方法|FXの移動平均線を活用した手法
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ダウ理論のまとめ
いかがでしたでしょうか。
『ダウ理論を制するものは相場を制するという』言葉もあるほどとても有名な理論です。
ダウ理論単体で戦うのは難しいですがこの理論を理解すれば相場の見え方は確実に変わると思いますし、上記で解説したように他のテクニカルを組み合わせて使用することで勝率アップにも期待ができるといえます。
こちらの記事も参考にし、ダウ理論と合わせて活用してみてください。
↓
チャートパターン・プライスアクション
ダウ理論は使用したことない方もこの機会にぜひ意識してみてください。この記事が参考になりましたら幸いです。