疑問点
- マルチタイムフレーム分析とは?
- マルチタイムフレーム分析は難しいの?
- マルチタイムフレーム分析の方法とは?
マルチタイムフレーム分析という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。
常勝トレーダーなら、必ずと言っていいほど取り入れている分析方法になります。
名前からして『難しそう』『触りにくい』と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
マルチタイムフレーム分析は、一度覚えてしまえばその後も反射的にできますし、より『優位性のあるポイント』を選定できるので勝率アップにも期待ができます。
こちらの記事ではマルチタイムフレーム分析の方法について、具体的且つ分かりやすく解説していきます。
マルチタイムフレーム分析とは?
マルチタイムフレーム分析とは、複数の時間足から今の相場はどのような状態なのかを判断する分析方法です。
もっと詳しく言うと、複数の時間足から現在の方向性を確認し、『どの流れに乗るか』『流れに乗るためには、どのタイミングでエントリーするのか』を探る方法になります。
マルチタイムフレーム分析
- 1つの通貨ペアで、複数の時間足を分析してトレードを行う方法
この分析方法を取り入れることで、リスクリワードの良い取引ができたり、エントリー後にすぐに逆行し、含み損を抱えてしまうというリスクを避けることができます。
また、マルチタイムフレーム分析を取り入れることで、以下のようなメリットがあります。
メリット
- 相場の方向性が分かる
- リスクリワードが良くなる
- 無駄なエントリーが減る
以上のことから、マルチタイムフレーム分析は、トレードスタイルに関係なく必要とされる重要なテクニカル分析であり、勝率アップにも期待ができます。
トレードスタイルによって見る時間足は変わる
マルチタイムフレーム分析は、スキャルピング・デイトレード・スイングトレードと、トレードスタイルが変わっても共通して利用できる分析方法です。
ただし、トレードスタイルが変われば、当然見る時間足も変わってきます。
トレードスタイルによって、およそ以下の時間足を目安に確認していきます。
トレードするメインの時間足 | 上位足 | 下位足 | |
スキャルピング | 5分足 | 15分足・30分足・1時間足 | 1分足 |
デイトレード | 15分足・30分足・1時間足 | 1時間足・4時間足・日足 | 5~15分足 |
スイングトレード | 4時間足・日足 | 週足・月足 | 30分足 |
後に解説致しますが、基本的にはメインの時間足・上位足・下位足を見れば良いので、特に難しいことはありません。
いきなり複数時間足を見るのは大変だと思いますので、初めの内は『メインの時間足』と『1つの上位足』の計2つの時間足での確認も良いと思います。
慣れてきたら徐々に確認する時間足を増やし、その時の相場状況やご自身のトレードスタイルに合わせて時間足を組み合わせてみてください。
また、マルチタイムフレーム分析で大切になるのは、上位足の方向性を必ず確認することです。
その理由としましては、多くの人が上位足を見てトレードしているので、相場は上位足の方向性に動きやすい習性があります。
この習性を利用し、上位足の方向に合わせてトレードするのが安定的に利益を上げる秘訣といえます。
以下の画像をご覧ください。
簡単に言うと、スイングトレーダーとデイトレーダーの両者が、ここで買いたいと合致したポイントは優位性が高くなりやすいのです。
これを意識しながらマルチタイムフレーム分析を行いましょう。
複数の時間足(マルチタイム)で相場を見よう!
まず覚えて頂きたいのは、『それぞれの時間足は繋がっており、全て同じ流れである』ということです。
それを踏まえ、まずはマルチタイムフレーム分析の前段階として、複数の時間足(マルチタイム)で相場を見れる感覚を一緒に掴んでいきましょう。
以下の画像をご覧ください。
画像はUSDJPYの日足のチャートです。四角部分のチャートの形をざっくりと覚えて頂ければと思います。
次に4時間足を見てみましょう。
上記は4時間足のチャートです。4時間足は高値をつけ、ダブルトップを形成し下落している場面です。そしてこの四角部分が先程の日足の四角部分にあたります。
日足の直近の値動きは、数本のローソク足で値動きが表され、なんとなく下落してるかな?といった程度の認識でしたが、4時間足に落として見てみると『いくつものローソク足でそれまでの値動きが表され、更にはチャートパターンを形成し下落している』と言った細かい値動きまで確認することができますね。
また、日足と4時間足の四角部分をざっくり見比べてみるとチャートの形が何となく似ていることにお気づきになりましたでしょうか?
なぜなら日足と4時間足は、見る時間足が違うだけで同じで流れを表しているためです。
日足の値動きの詳細を表しているのが4時間足であり、その4時間足で日足のより細かい値動きを確認することができるといえます。
そしてこれは、日足と4時間足の2つの時間足だけのことではなく、それぞれの時間足の間でも同じことがいえます。
次のチャートも見てみましょう。
上記は先程の4時間足のチャートです。四角部分のチャートの形を何となく覚えて頂ければと思います。
次に1時間足の画像です。
1時間足では下落の場面ですね。この四角部分が先程の4時間足の四角部分にあたります。
1時間足と4時間足の四角部分を見比べてみると、その形は何となく似ていることもわかりますね。
また、4時間足の数本のローソク足から下落基調なことがわかりますが、これを1時間足に落として見てみると『戻り目を付けて下落しており下降トレンドの最中』というさらに細かい値動きまで確認することができます。
次のチャートを見ていきましょう。
上記は先程の1時間足のチャートです。先程と同じく四角部分のチャートの形をなんとなく覚えて頂ければと思います。
次に15分足の画像です。
15分足でも下降トレンドの最中ですね。四角部分が先程の1時間足の四角部分にあたります。
1時間足の数本のローソク足は、15分足で見てみるといくつものローソク足で値動きが表されており、より詳細な値動きを確認することができますね。
最後にもう一つ見比べていきましょう。
上記は先程の15分足のチャートです。これまでと同じく四角部分のチャートの形を、何となく覚えて頂ければと思います。
次に5分足の画像です。
四角部分が先程の15分足の四角部分にあたります。
15分足の数本の値動きは、5分足では安値をつけたあと下降トレンドが落ち着き、小さいレンジを形成しています。チャートパターンのペナントにも見えますね。
(チャートパターンについてはこちらの記事も参考にされてみてください)
↓
『チャートパターン』
このように、15分足を見ただけではわからなかった情報が、視点を変え、5分足に落として見ることで細かい情報まで読み取ることができました。
このように、それぞれの時間足は値動きが異なりますが、全て繋がっており同じ流れにあります。
複数の時間足(マルチタイム)で相場を見ることで、より鮮明に分析できますので感覚を掴んでいきましょう。
ポイント
- 複数の時間足で相場を分析する際は、上位足から下位足の順番で確認することにより、相場の方向性が分かりやすくなる。
下位足のみで分析すると、相場の方向性が曖昧なままエントリーしてしまうので、勝率が悪くなったり、騙しに遭いやすくなります。
マルチタイムフレーム分析の方法と戦略
マルチタイムフレーム分析の方法と戦略と言っても『そもそもどの時間足から手を付ければいいのかわからない』と思われるかもしれませんが、とても簡単ですのでご安心ください。
基本的には、『トレードするメインの時間足』→『メインの時間足の上位足』→『メインの時間足の下位足』の順番で相場を分析していきます。
分析の方法
- トレードするメインの時間足
↓ - メインの時間足の上位足(方向性に逆らってないか・流れを妨げる障害はないか・どのぐらいの値幅があるのかを確認)
↓ - メインの時間足の下位足(エントリータイミングを探る)
ステップ1
『トレードするメインの時間足を決める』
まずはトレードする時間足を決めます。例えば、どの時間足でもいいので『トレンドの押し目買い』や『ダブルトップネックライン割れしそう』など、優位性のあるポイントを見つけいていきます。
ステップ2
『上位足を確認する』
次に、メインの時間足の上位足を確認していきます。ここで確認することは『上位足の方向性に逆らっていないか』『流れを妨げる障害(抵抗帯など)は無いか』『どのくらいの値幅があるのか』などになります。
大きな時間足ほどトレンドの力は強いので、メインの時間足でいくら優位性がありそうなポイントを見つけても、上位足の方向に逆らっていた場合、予想とは違う値動きになりかねないので、上位足は必ず確認しましょう。
ステップ3
『下位足を確認する』
最後にメインの時間足の下位足を確認します。トレンドはその時間の下位足から変わっていくので、エントリーポイントは下位足で探っていきます。下位足ではより詳細な値動きを見ていくのですが、値動き次第でエントリーまたは見送りの判断を行っていきます。
分析の方法は掴めたでしょうか?ここからは実際のチャートも交えてマルチタイムフレーム分析の戦略を解説していきます。
例1.エントリーをする編
マルチタイムフレーム分析を取り入れれば、優位性があるポイントの選定が可能になります。
ステップ1
メインの時間足は30分足:下降トレンドで戻り売りの戦略
上記の画像はEURUSDの30分足のチャートです。
しばらくレンジが続いたあと勢いよく下落し、抵抗帯に沿って再度レンジを形成しており、プライスアクションのランウェイダウンのようにも見えますね。よく見るとダブルトップも出現しています。
ダブルトップはネックラインを割ると『その後の下落に期待ができるチャートパターン』です。
(プライスアクションについてはこちらの記事を参考にしてみてください)
↓
『プライスアクション』
下降の勢いも強いですし、ダブルトップ、ランウェイダウンも形成しているということで、これから下落に期待ができる場面です。
今回は『ネックライン割れで戻り売り』の戦略でいきたいと思います。
ちなみに今回も四角部分のチャートの形を覚えて頂ければと思います。
次に、上位足の方向に逆らってないか、トレンドの流れを妨げるような障害(抵抗帯)はないか、上位足を確認していきます。
ステップ2
上位足を確認する:今回は4時間足・日足で流れに逆らってないかなどを見る
画像は4時間足のチャートです。四角部分が先程の30分足の四角部分にあたります。
4時間足も流れは下降のようです。流れを妨げる障害(抵抗帯)は見受けられませんね。
お次は日足の確認です。
上記は日足のチャートです。四角部分は先程の30分足・4時間足の四角部分にあたります。
日足でも流れを妨げる障害(抵抗帯)はなく、おまけにダブルトップが形成されています。
日足・4時間足では直近の安値も更新しており、リスクになるようなものは見当たらず、むしろ戻り売りの後押しになるような材料を見つけることができました。
最後にエントリータイミングを探るため、下位足を見ていきます。
ステップ3
下位足を確認する:15分足でエントリータイミングを探る
上記は15分足のチャートです。15分足でもダブルトップが形成されていますね。
ダブルトップのネックラインを割るとその後の下落に期待ができることから、この『ダブルトップのネックラインを割ったらエントリー』となります。
ちなみに四角部分は先程の30分足の四角部分にあたります。↓
次に、エントリーポイントから、その後チャートの値動きはどうなったのか見てみましょう。
上記は先程の30分足のチャートです。エントリーポイントから100pips以上下落しており、仮にエントリーしていたら、しっかり利益を獲れていた場面でしたね。
いかがでしたでしょうか?
今回の『30分足の下降トレンドで戻り売り』の戦略は、マルチタイムフレーム分析を駆使し、上位足の下降の流れに合わせて優位性のあるポイントで、利益を狙うことができた場面でした。
例2.エントリーを控える編
マルチタイムフレーム分析を駆使すれば、無駄なエントリーを減らすことも可能です。
ステップ1
メインの時間足は1時間足:上昇トレンドで押し目買い
上記の画像はGBPCHFの1時間足のチャートです。上昇トレンドの最中で、今後も伸びることが期待できるチャートですね。ちょうど押し目を形成しているので、今回は『上昇トレンドで押し目買い』戦略でいきたいと思います。
ちなみに今回も四角部分のチャートを覚えて頂ければと思います。
次に上位足の方向に逆らってないか、トレンドを妨げる障害は無いか確認するため、上位足を確認していきます。
ステップ2
上位足を確認する:今回も4時間足・日足で流れに逆らってないかなどを見る
上記は4時間足です。四角部分は先程の1時間足の四角部分にあたります。
4時間足でも上を向いてはいますが、ちょうど意識されていそうな抵抗帯に差し掛かっている場面ですね。
これを見ると、伸びしろがないばかりか、エントリーしても逆行しそうな感じが否めませんが、4時間足だけでは判断しづらいので日足を見てみましょう。
上記の画像は日足のチャートです。四角部分は先程の1時間足・4時間足の四角部分にあたります。
4時間足で見た抵抗帯は、日足でも何度も意識されており、強力な抵抗帯であることがわかります。
大きな時間足ほどトレンドの力は強いのでこの抵抗帯に阻まれ下落に転じてもおかしくない状況です。
また、高値も安値も綺麗に切り揃っていることから、方向性が明確に定まらないレンジ相場だとわかります。
これらの懸念材料から『1時間足の上昇トレンドで押し目買い』作戦は、控えた方が無難と言える相場状況といえます。
今回は残念ですが見送りとし、ステップ3の『下位足:エントリータイミングを探る』は省きます。
最後に、エントリーは見送りとなりましたが、その後の値動きがどうなったか見てみましょう。
上記は先程の1時間足のチャートです。押し目買いを狙っていた所から大きく下落しています。
仮にエントリーしていれば、かなりの損失を被っていたので、見送りが正解といえる場面でしたね。
いかがでしたでしょうか?このように、マルチタイムフレーム分析を取り入れれば、無駄なエントリーを減らすことも可能といえます。
ゆひのマルチタイムフレーム分析方法
ここからは、私が普段どのようにしてマルチタイムフレーム分析を行っているかを解説していきたいと思います。
私は以下の内容を、時間足ごとに確認しながらトレードを行っています。
トレードするメインの時間足 | 上位足 | 下位足 |
15分足 | 1時間足・4時間足・日足 | ー |
トレンド・チャートパターンなどの有無を確認していく。 | 方向性・抵抗帯の有無の確認。 | 15分足でエントリー・決済をしていくので確認する下位足はなし。 |
上記の内容を、実際のチャートを交えて解説していきます。
①15分足でトレードできるか確認する
まずは15分足で『トレンド』『チャートパターン』が発生していないか確認します。
※私は相場状況をわかりやすくするために、単純移動平均線(SMA)を表示させています。期間設定は以下の通りです。
ピンクの線→SMA20、水色の線→SMA50、紫の線→SMA100
上記の画像はGBPJPYの15分足のチャートです。しばらくレンジが続いたところで、『ダブルボトム』が出現しています。
私は『チャートパターン』や『トレンド』の出現を目安にトレードするかを考えます。
今回はチャートパターンの『ダブルボトム』が出現していたので、エントリーを考えていきます。
今回も四角部分のチャートの形を覚えて頂ければと思います。
お次は、上位足の流れに逆らってないか、上位足で流れを妨げる障害(抵抗帯)はないかを確認していきます。
②上位足で方向性・抵抗帯を確認する
次に、1時間足・4時間足・日足で『15分足の方向性と違いはないか』『流れを妨げる障害(抵抗帯)はないか』を確認します。
上記は1時間足のチャートです。四角部分が先程の15分足の四角部分に当たります。
1時間足は上昇傾向にありますね。15分足と方向性は同じなので、この流れに乗る形で問題ありません。一つ懸念材料として前回高値が障害(抵抗帯)として立ちはだかっています。
1時間足だけでは判断しづらいので次に4時間足を見ていきます。
上記は4時間足のチャートです。四角部分が15分足・1時間足の四角部分にあたります。
4時間足では大きなダブルボトムが形成されていて、ネックラインを明確に割っており、上昇に期待ができる状況です。
1時間足で懸念していた前回高値は、4時間足ではヒゲで確定しており、さらに大きなダブルボトムを形成しネックライン割れしている(その後の上昇に期待ができる)ことから、気にしなくてもいいと判断します。
次の抵抗帯まではかなりの値幅があるので、実質流れを妨げる抵抗帯は無いといえます。
最後に日足を確認していきます。
上記は日足のチャートです。ちょっとわかりづらいですが小さい四角部分が先程の15分足・1時間足・4時間足にあたります。
日足でもダブルボトムが確認でき、流れを妨げる障害はありません。全体的に上昇傾向で15分足と日足の方向性は同じと判断します。
上位足を確認したところ、『上位足の方向性に逆らっていない』『15分足の流れを妨げる障害は無い』と判断できましたので、お次は15分足に戻り、エントリータイミングを探っていきます。
③エントリーは15分足で行う
次に、15分足に戻りエントリータイミングを探っていきます。
15分足で確認していたダブルボトムを見ていきます。ちょうどネックラインを割っているので、そのままローソク足が確定したらエントリーしていきます。
利確目標は『ダブルボトムの右の山と同じ値幅』なので、今回はおよそ30pipsほどになります。
最後に、エントリーポイントから、どのように推移していったのか見てみましょう。
上記は15分足のチャートになります。エントリーポイントから無事に利確目標まで到達していますね。仮にエントリーしていれば、しっかり利益を獲れていた場面でした。
いかがでしたしょうか?以上が私が普段から実戦しているマルチタイムフレーム分析になります。
解説にも登場していた移動平均線については、こちらの記事を参考にしてみてください。
↓
『移動平均線』
マルチタイムフレーム分析のまとめ
いかがでしたでしょうか?マルチタイムフレーム分析を取り入れることにより、格段にトレードの精度は高まるといえます。
初めから多くの時間足を確認するのは、大変だと思いますので、まずは2つの時間足から慣れていくのが良いと思います。
まとめ
- マルチタイムフレーム分析は複数の時間足から今の相場はどのような状態なのかを判断する分析方法。
- それぞれの時間足で相場状況は違うが、全て繋がっていて同じ流れである。
- マルチタイムフレーム分析で確認するのは『トレードするメインの時間足』・『上位足』・『下位足』。
- 慣れるまでは『メインの時間足』・『1つの上位足』の計2つの時間足の確認でもOK。
この記事が参考になりましたら幸いです。