疑問点
- 経済指標とは?
- 注目すべき経済指標は?
- 経済指標は避けるべき?
- 経済指標で発生するリスクは?
『経済指標』は世界中のトレーダーが注目しているイベントあり、FXの取引を行うなら必ず注目しなければならないと言っても過言ではありません。
この記事では、経済指標とは何なのか? どんな種類があるのか? 注意すべき点は? など簡単に解説していきますのでよければ参考にしてみてください。
経済指標とは?
各国の経済状況を数値化して表したものを『経済指標』と言います。 政府や中央銀行などの公的機関が発表しており、その国の経済状況を知る上で非常に大切な目安となるものです。
重要な指標ですと、その結果次第で相場は大きく動くので、運が良ければ利益を得る事ができますが、逆に保有していたポジションが大きな損失を出してしまうこともあり、経済指標が市場に与える影響は大きいといえます。
経済指標を確認できるツール
(Investing経済指標カレンダー引用)
経済指標は、それぞれのFX証券会社カレンダーでも確認することができますし、ネットで検索するといろいろありますのでご自分で使いやすいもの選んでみてください。
私は普段『Investingの経済指標カレンダー』を活用しています。
Investing
ちなみに、経済指標の他にも、世界の出来事や金融関連のニュースを知りたいときは『ロイター通信』『ブルームバーグ(Bloomberg)』がおすすめです。 こちらは公式サイト・公式Twitterもあります。
ロイター通信
ブルームバーグ
各国の景気動向や金融事情を把握しておくことは、次の指標発表の予測をすることにも役立てることができます。
経済指標の見方
経済指標は以下の内容を確認します。
ポイント
- 経済指標の重要度
- 前回値・予想値・結果
- 対象国の関連通貨
順番に見ていきましょう。
経済指標の重要度に注目する
経済指標と言ってもその数は膨大な量がありますが、それらのほとんどが相場に与える影響は少なく、発表があっても価格が大きく動くわけではないので、全てを把握する必要はありません。
しかし、中には注目すべき指標があり、それは『重要度の高い指標』になります。
重要度の高い指標とは、その経済指標の発表前後で大きな値動きになる可能性が高いと言われるものです。
経済指標カレンダーなどでは重要度を星の数で表しており、最も重要度の高い指標は『☆☆☆』(ほし3)になります。
(サイトによっては星5が最大値の所もあります。また、重要度の表し方も星ではなく、SS・A・Bなどのアルファベットで表す所もあります。)
(IInvestingの経済指標カレンダー引用)
基本的に相場に影響を与える可能性があるのは『☆☆☆』の指標で、それ以下はあまり影響がないといえます。ですのでスケジュールを確認する際は、『☆☆☆』の指標に注目するようにしましょう。
前回数値・予想値・結果に注目する
(Investingの経済指標カレンダー引用)
一般的には『前回値』、『予想値』と『結果』に注目します。予想値よりも悪い結果が出ればその国の通貨は売られやすくなり、良い結果が出れば買われやすくなります。
相場は指標発表の直前まで、予想値を織り込みながら動いていますので、例えば前回値と比較して予想値が良い数字の場合、市場参加者はその数値を参考にして取引を行うため、相場ではすでに上昇傾向(織り込み済み)だったりします。
織り込み済みとは?
- 経済指標などの好材料や悪材料がすでに相場に反映されていること
そのため、予想値に反して悪い結果だった場合、それはサプライズとなって大きな値動きになる可能性が高くなるのです。
ちなみに、予想値と結果が同じ数字の場合、相場ではすでに織り込み済みなので影響がないことがほとんどといえます。
対象国の関連通貨を確認する
忘れてはならないのが、発表される指標はどの国の経済指標なのかという点です。指標の発表が行われると、その国に関連した通貨は影響を受けやすいので、取引する際は注意が必要です。
(Investingの経済指標カレンダー引用)
上記の画像をご覧ください。例えば、アメリカの経済指標はドルに影響を与えます。そのため、『ドル円』『ユーロドル』と言ったドルに関連した通貨は大きく影響を受ける可能性があります。
経済指標を確認する際はどの国の指標なのかも確認するようにしましょう。
注目するべき重要な経済指標
様々な経済指標がありますが、市場の注目度が高い経済指標、いわゆる『重要経済指標』は発表されれば、時にトレンドが変わってしまうほどの威力があるので、必ず押さえておきたい指標です。
以下の6種類が相場で大きな価格変動を起こしやすい指標になります。
重要な経済指標
- 【米】米雇用統計
- 【各国】政策金利
- 【各国】GDP(国内総生産)
- 【米】CPI(消費者物価指数)
- 【米】小売売上高
- 【各国】要人発言
これらはほとんどの市場参加者が注目している指標です。順番に見ていきましょう。
【米】米雇用統計(失業率・非農業者部門雇用者数)
毎月発表されている、米国の雇用情勢を表す指標です。米雇用統計は経済指標の中で最も相場に影響を与える指標といえます。いくつかの指標がまとめられて雇用統計と呼びますが、その中でも『非農業部門雇用者数』と『失業率』の数字に注目です。
米雇用統計は米国の景気をありのままに表すものなので、指標発表時には相場が大きく動く可能性があります。
【各国】政策金利
政策金利(一般の銀行に融資する際の金利のこと)とは、各国の中央銀行が年に数回開催する金融政策会合(アメリカならFOMC、日本なら日銀金融政策決定会合)によって討議・決定される指標です。
他にも討議される金融政策についてはいくつかありますが、中でも政策金利はどこの国でも非常に注目されます。
政策金利について市場が関心を集めていた場合、結果次第では相場に大きな影響を与えますが、予想と変わらない結果ですと価格はあまり動きません。
ただし、会合後の要人会見では相場にとって、サプライズとなる発言も飛び出す可能性が高いので注意が必要です。
政策金利と合わせて注目される、各国の金融政策会合についてもご紹介していきます。
金融政策会合について
各国の中央銀行によって開催される、政策金利やその他の金融政策について、討議・決定を行う会合です。
その国の金利や方向性を決める重要な会合になります。
【米】FOMC
年間8回・2日間開催
FRB(連邦準備制度理事会)により開催されます。アメリカは世界第1位の経済大国であり、米ドル(USD)は基軸通貨にもなっているため、世界中の市場参加者が注目している非常に重要な指標になります。
【欧】ECB政策理事会
年間8回開催
ECB(欧州中央銀行)により開催され、ユーロ(EUR)は世界で2番目に取引されている通貨であることから、市場に与える影響も大きく、重要度の高い指標になります。
【日】日銀金融政策決定会合
年間8回・2日間開催
日本銀行(中央銀行)によって開催されます。日本円(JPY)は米ドルとユーロに次いで世界で3番目に取引されている通貨であり、そのため市場からの関心も高い指標と言えます。
【英】BOE金融政策委員会(MPC)
年間8回開催
BOE(英国中央銀行)により開催されます。市場全体に影響を与えることは少ないですが、金融政策発表を受けてポンド(GBP)の値動きに影響が出ることがあります。
【豪】RBA金融政策理事会
1月を除き、年間11回開催
RBA(オーストラリア中央銀行)により開催されます。BOEと同様に、市場全体に影響を与えることは少ないですが、金融政策発表を受けて豪ドル(AUD)の値動きに影響が出ることがあります。
主に『アメリカのFOMC』『欧州のECB』『日本の日銀金融政策決定会合』は市場からの注目度も高いので押さえておくべき指標です。
【各国】GDP(国内総生産)
GDP(国内総生産)とは一定期間内に国内で生み出された利益の総額のこと言います。その国の景気状況を示す指標として注目されます。
『速報値』『改定値』『確報値』と複数回にわたり公表されますが、最も注目されるのが『速報値』です。改定値・確報値は相場にあまり影響はありませんが、予想外の数値が公表された場合は大きな値動きになる可能性があります。
基本的に各国で発表されていますが、アメリカのGDP(国内総生産)が最も影響力の強い指標といえます。
【米】CPI(消費者物価指数)
アメリカ国内の消費者が購入する、商品・サービスの価格の変動を示す指標で、国民の購買意欲やインフレ率を測るものとされています。
基本的に各国で発表されますが、アメリカのCPI(消費者物価指数)が相場に与える影響は最も高いです。
エネルギー・食品価格といった変動の激しい項目を取り除いたコアCPI(消費者物価指数コア)が特に重要視されます。
CPI(消費者物価指数)はアメリカの政策金利に影響を与える指標でもあるため、その時FOMCに関心が集められていた場合、価格が変動する可能性があります。
【米】小売売上高
百貨店やスーパー・コンビニなどの小売業者の売上高を集計したものです。
消費大国である米国では、GDPの約7割を個人消費が占めていることから、市場からの関心が高い指標といえます。
また、小売売上高にサービス業は含まれていないことと、『自動車及び同部品』という部門がありますが、これは価格の変動が激しいため、この項目を除いたコア部分が注目されます。
発表があっても相場に影響を与えることは少ないですが、市場の注目が集まっていた場合は価格が変動する可能性があります。
【各国】要人発言
要人発言とは、その国のリーダーや経済・財政政策を担当する政府官僚や高級官僚、金融政策を担当する中央銀行の総裁や財務大臣など、世界経済に影響を与える人物の発言のこと言います。
特に注目すべき要人発言
- アメリカのFRB総裁
- 欧州のECB総裁
- 日本の日銀総裁
その内容は主に『経済や金融・財政政策の方向性』を示す内容が多いです。
その発言が織り込み済みの場合、相場に大きく影響を与えることはありませんが、市場の予想を裏切るような内容ですとそれはサプライズとなって、相場を大きく動かす材料になります。
要人発言は、金融政策委員会や講演会といったイベントの際になされることが多いですが、中には突発的に発言されることもあります。これを事前に把握する術はないですが、こういうこともあることは覚えておきましょう。
話題の対象となる経済指標が相場を動かしやすい
その時に、話題となっている出来事に関連した経済指標が相場変動を起こしやすいです。
例えば、アメリカの要人が『次の会合で金利引き上げを想定している』と述べたとすると、次の政策金利は注目され、そこから相場の値動きにも影響がでる可能性が高くなります。
また、金利政策発表の際、想定していた内容とは違う結果になった場合、それはサプライズとなって大きな価格変動を起こす要因にもなるのです。
普段から、現在の注目されているニュースや、市場が関心を集めている重要な事柄などに、少し意識を向けるだけでも、相場の値動きへの理解が深まるといえます。
経済指標の注意するべき点
重要な経済指標の発表前後は価格が乱効果するおそれがあり、基本的には『指標を狙った取引』『指標の発表までポジション保有』は避けることをおすすめします。
指標の発表前後は、以下のことが起こりやすいです。
- 注文が約定しづらい
- スプレッドが大きく開く
- 価格が大きく飛ぶことがある
- 価格が乱高下するおそれがある
仮にポジション保有中に指標発表があり、価格の乱交下、スプレッドが大きく開くなどによって損切にかかったとします。
その際、約定がうまくされず、想定していた損失価格よりも多く損失が上乗せされる可能性があるということもあります。
上記の画像は日銀の経済指標発表時のチャートです。発表直後、およそ数十分で200pipsの価格変動がありました。このようにイレギュラーな動きになる可能性があるので、指標発表前後と要人発言の際はポジションの保有とエントリーはしないなど、ルールを設けるのが良いでしょう
ゆひが最も注意している経済指標
実際に私が注意している経済指標は以下の4つになります。指標発表前後はエントリーを避ける、ポジションを決済するなど、自分のルールを決めています。
危険度ランキング
要人発言 ☆☆☆
米雇用統計 ☆☆☆
各国政策金利 ☆☆☆
米CPI(消費者物価指数) ☆☆☆
以前、損切りを入れたのに、約定されず100pips以上すべってしまった過去があるので、これらの指標前はエントリーを避けるだけでなく、ポジションの決済もルールに追加しております。
また、指標発表前後はスプレッドも急激に開く可能性もあるので、注意しましょう。
経済指標のまとめ
いかがでしたでしょうか?膨大な量の指標の中からどれが注目するべき指標なのか、おわかりいただけたかと思います。
この記事のまとめです。
経済指標のまとめ
- 各国の経済状況を数値化して表したものを『経済指標』という。
- 確認するのは『前回値』『予想値』『結果』である。
- 注目すべきは『重要な経済指標』。
- 重要な指標は今後の相場に影響を与える可能性がある。
(指標で今後のトレンドが変わる可能性もある) - 指標発表時は価格が乱交下するおそれがある。
- 指標発表の前後はスプレッドが大きく開きやすい。
- 注文の約定がしづらく、決済できない場合もある。
- 指標の発表前後は無理して取引する必要はない。
小さな経済指標はあまり気にする必要はありませんが、こういった重要な指標を押さえておくだけでも、取引が優位に行えると思います。
各市場時間の流れについての記事もありますので、よければ参考にしてみてください。
↓
FXの市場時間
ぜひ日々の取引でも意識してみてください。この記事が参考になりましたら幸いです。